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銀行取引明細の勘定科目を自動分類する方法

銀行取引明細の勘定科目を自動で分類する方法を解説。ルール設定、AI活用、会計ソフト連携のコツを紹介します。

毎月末、銀行取引明細を開いて数百件の入出金履歴を一つひとつ確認し、それぞれの勘定科目を手作業で割り当てていく作業は、多くの経理担当者にとって最も消耗する業務の一つです。銀行取引明細の勘定科目を自動分類できれば、この負担は劇的に軽減されます。ミスが減り、月次締めが早まり、より付加価値の高い分析業務に集中できるようになります。本記事では、ルール設定・AI活用・外部ソリューション連携という3つのアプローチを具体的に解説し、自動分類の精度を高めるためのコツもお伝えします。中小企業の経理担当者から個人事業主まで、すぐに実践できる内容です。

銀行取引明細の勘定科目を自動分類するAIシステムのダッシュボード画面イラスト

なぜ銀行取引明細の自動分類が必要なのか

手作業分類が抱える3つの問題

時間コストが莫大になる

取引件数が月に数百件に達すると、手作業での分類は現実的ではありません。1件あたり15〜30秒かかるとすると、月300件でおよそ2〜2.5時間。複数口座・複数事業の経理を担当している場合は、その何倍もの時間が消えます。

ヒューマンエラーのリスク

同じ取引先でも振込人名義の表記ゆれや、摘要欄の略称によって、異なる勘定科目に誤って分類されることがあります。消耗品費と交際費の誤分類など、税務申告に影響するミスは手作業では避けにくい問題です。

スケールへの対応困難

事業が成長するほど、また担当クライアントが増えるほど、手作業の限界は早く訪れます。分類ルールの属人化も進み、担当者が変わるたびにミスが増えるというリスクも生じます。

手作業 vs 自動分類の時間比較

月間取引件数手作業にかかる時間の目安自動分類後の確認時間の目安削減率
100件約45分約10分約78%
300件約2時間15分約20分約85%
500件約3時間45分約30分約87%
1,000件以上7時間超約60分約85%以上

自動分類を導入すると、経理担当者の作業は「分類する」から「確認・修正する」へと移行します。これが経理業務の生産性を大きく変えます。

分類ミスが引き起こすリスク

  • 消費税区分の誤り(課税 vs 非課税 vs 不課税)
  • 損金算入・不算入の誤判断
  • 決算書の科目残高ズレによる税務調査リスク
  • 月次レポートの信頼性低下

自動分類の3つの方法

方法1:会計ソフトのルール設定(ルールベース自動仕訳)

freee・マネーフォワード クラウド会計・弥生会計などの主要な会計ソフトには、いずれも「自動仕訳ルール」機能が搭載されています。

freeeの「自動で経理」機能

freeeでは、銀行口座やクレジットカードを連携すると取引明細が自動で取り込まれます。取引内容(摘要)をキーワードとしてルールを設定すると、次回以降は同じキーワードを含む明細に自動的に同じ勘定科目が割り当てられます。過去の仕訳を学習して提案する機能も備わっています。

マネーフォワード クラウド会計の「自動仕訳ルール」

マネーフォワードでは、登録した勘定科目や摘要の仕訳内容を記憶し、同様の明細が取り込まれた際に前回の登録内容を自動提案します。AIがビッグデータを基に勘定科目を提案し、使うほど自社に最適化されていく学習機能も持っています。

弥生会計の「スマート取引取込」

弥生会計(オンライン版・デスクトップ版)のスマート取引取込では、銀行・クレジットカード・電子マネーの明細を自動取得し、仕訳ルールに従って勘定科目を自動割り当てします。ルールは最大1,000件まで登録可能で、AIが過去の履歴や一般的な辞書データをもとに勘定科目を推測する機能も搭載されています。

設定のコツ

  • 摘要欄のキーワードは「完全一致」より「部分一致」で設定する
  • ルールの優先順位を設定し、汎用ルールより具体的なルールを上位に置く
  • 定期的にルールを見直し、新しい取引先や費目に対応させる

方法2:AIと機械学習による自動分類

ルールベースの自動仕訳が「事前に決めたルールを適用する」のに対して、AIを活用した自動分類は「過去の仕訳パターンを学習して予測する」アプローチです。

AIによる自動分類の仕組み

  1. 過去の仕訳データ(取引摘要・金額・日付など)を学習データとして使用
  2. 新しい取引明細が届くと、学習済みモデルが類似パターンを検索
  3. 最も確率の高い勘定科目を候補として提示(または自動適用)
  4. 担当者が修正するたびにモデルが再学習し、精度が向上

AIが特に有効なケース

  • 取引先名や摘要の表記が一定しない場合
  • 月によって金額が変動するが科目は同じ経費(光熱費など)
  • 多数の取引先が存在し、ルールを個別設定するのが困難な場合

主要な会計SaaSはいずれもAI学習機能を取り入れており、初期設定から数ヶ月使い続けることで分類精度が80〜95%程度まで向上するとされています。

方法3:外部ツールによるPDF変換+分類ソリューション

会計ソフトとの連携が難しい場合、または明細データがPDF形式でしか入手できない場合に有効なのが、外部の変換・分類ツールを組み合わせる方法です。

このアプローチが必要になるケース

  • ネットバンキングが自動連携に対応していない金融機関を利用している
  • 複数金融機関の明細を一括処理したい
  • 既存の会計ソフトに縛られず、CSVやExcel形式でデータを扱いたい

処理フロー

  1. 銀行取引明細のPDFをアップロード
  2. OCR・AIによってデータをテキスト化・構造化
  3. 日付・摘要・金額・入出金区分を自動抽出
  4. 勘定科目の提案または自動タグ付け
  5. Excel・CSV・JSON形式でエクスポート
  6. 会計ソフトにインポート

3つの方法の比較表

方法分類精度初期設定の手間月次コスト向いているケース
ルールベース(会計ソフト内)70〜90%(ルール整備後)中〜高会計ソフト料金に含まれる取引パターンが安定している事業者
AI・機械学習80〜95%(学習後)低〜中会計ソフト料金に含まれる取引先・摘要が多様な事業者
外部変換+分類ソリューション85〜98%別途ツール費用PDF明細しか入手できない・複数行の一括処理

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自動分類でよくある失敗

自動仕訳の導入は効率化への大きな一歩ですが、いくつかの落とし穴があります。よくある失敗パターンを知っておくことで、トラブルを未然に防げます。

失敗1:ルールを作りすぎて管理できなくなる

「すべての取引を完全自動化しよう」と意気込み、数百件のルールを登録した結果、ルール同士が競合して誤分類が増えるケースがあります。ルールは「よく出る取引上位20%」に絞って設定し、残りは手動確認するほうが現実的です。

失敗2:初期設定後に見直しをしない

事業の成長とともに取引先や経費項目は変化します。設定したルールを半年・一年放置すると、現実の取引パターンとルールが乖離し、分類精度が落ちていきます。定期的なルールのメンテナンスが必要です。

失敗3:消費税区分を考慮していない

勘定科目を正しく分類できても、消費税の課税区分(課税・非課税・不課税・免税)が誤っていると、消費税申告に大きな影響が出ます。自動分類のルールには勘定科目だけでなく税区分もセットで設定することが重要です。

失敗4:自動分類結果を無確認で確定する

AIやルールがどれだけ優秀でも、100%の精度は保証できません。特に高額取引・イレギュラーな摘要・期末の振替仕訳などは、必ず人の目でチェックする運用フローを維持してください。

失敗5:PDFを手入力でデータ化してから連携しようとする

会計ソフトとの自動連携が使えない場合に、PDF明細を見ながら手でCSVを作成してからインポートする、という本末転倒な手順を踏んでしまうケースがあります。PDFからの自動変換ツールを使えば、この工程を丸ごと省略できます。


分類精度を上げるコツ

銀行明細の勘定科目分類精度向上ワークフロー:学習により精度が上がるグラフ

コツ1:補助科目・部門を活用して分類粒度を上げる

勘定科目だけでなく補助科目(サブアカウント)や部門コードも自動分類のルールに組み込むことで、管理会計レベルの精度が実現します。たとえば「旅費交通費」という勘定科目に加え、補助科目で「新幹線」「タクシー」「航空券」を区別するといった設定です。

コツ2:摘要欄の正規化ルールを定める

銀行の摘要欄には、振込人名義が全角カタカナで記録されたり、半角英数字が混在したりと、表記が不統一になりがちです。会計ソフトや変換ツール側で「表記ゆれを吸収するキーワードマッピング」を定義しておくと、分類精度が大幅に向上します。

コツ3:月次で「未分類件数」を確認するダッシュボードを作る

自動分類ができなかった取引(未確定・未分類)がどれくらい残っているかを可視化するだけで、ルール改善の優先順位が明確になります。主要な会計ソフトにはこうした未処理明細の一覧表示機能があるため、月次のルーティンチェックに組み込みましょう。

コツ4:税理士・会計士と分類ルールをすり合わせる

自動分類の設定を内部だけで完結させると、税務上の観点から望ましくない分類が定着してしまうことがあります。初期設定の段階で顧問税理士・会計士と勘定科目の体系や税区分の扱いを確認し、ルールを策定することを強くお勧めします。

コツ5:インポートフォーマットを標準化する

複数の金融機関の明細を扱う場合、それぞれの日付フォーマット・列構成・文字コードの違いが分類精度を下げる原因になります。外部変換ツールで統一フォーマット(例:ISO 8601形式の日付、UTF-8エンコーディング)に変換してから会計ソフトに取り込む運用を整えましょう。


まとめ:自動分類は「始めるコスト」より「続けないコスト」が高い

銀行取引明細の勘定科目を自動分類する仕組みを整えることは、最初に少しの設定作業が必要ですが、その後の毎月の経理時間を大幅に短縮してくれます。freee・マネーフォワード・弥生といった国内主要会計ソフトはいずれも自動仕訳機能を標準搭載しており、PDFしか入手できない場合でも外部変換ツールを組み合わせることで対応できます。

重要なのは「導入して終わり」にしないこと。ルールの定期見直し、未分類件数のモニタリング、そして税理士との連携によって、分類精度は月を追うごとに向上します。

まずは手作業が最も多い取引パターンから自動化を始め、少しずつ対象を広げていくアプローチが現実的です。

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執筆者 bankStatementLab Team